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VOL.18 2001.8.5
牧野富太郎
「自然は、確かに因果応報の真理を含む」
牧野富太郎 (1862-1957) http://www.makino.or.jp/ 文久2年、土佐国佐川村生れ。9歳、植物観察を始め、各地で採集、万事徹底主義で植物学を独学。22歳、東京大学植物学教室に出入、25歳、日本植物学会誌「植物学雑誌」を創刊。26歳、「日本植物志図篇」を出版。65歳、理学博士。 各地の愛好者と野外で植物にふれる楽しみを共にする。86歳、皇居参内、植物学御進講。「やまとぐさ」「むじな藻」etc.命名した植物約2,500種、日本植物分類学の祖、「牧野日本植物図鑑」は“図鑑”の語源とされる。文化勲章受章。
「学んだというよりは遊んだのは植物の学。別に師匠というものが無かったから日夕天然の教場で学んだ。絶えず山野に出でて実地に植物を採集しかつ観察した」 「時計が不思議でその中を見たくてたまらず、解剖して納得行くまで調べた」 「淵に臨んで魚を羨むは、退いて網を結ぶに如かず」 漢書 植物学に志す決意 「忍耐、精密、草木の博覧、書籍の博覧、植学に関係する学科は皆学ぶ、洋書を講ずる、当に画図を引くを学ぶべし」など15項目 標本60万点 「私は胴籃を下げ、根掘りを握って日本国中の山谷を歩き廻って採集した。それは徳川時代の学者とは比べものにならない程頻繁で且つ綿密なもの」
「植物に関心を持つと持たぬとによって、国、人間の貧富が分かれる」 「草木は何時でも何処でも随時これを楽しむことが出来る。植物に趣味を持てば人間の本性が良くなり、健康になり、人生に寂寞を感じない。野に山に咲き誇る草花を見れば、何人もあの優しい自然の美に打たれて、和やかな心にならぬものはあるまい。心が詩的にもなり美的にもなる。山野に草や木をさがし求むれば、自然に戸外の運動が足るようになる。日光浴ができ、紫外線に触れ、知らず識らずの間に健康が増進せられる。周囲の草木は永遠の恋人としてわれに優しく笑みかける」 「草木に愛を持つことによって人間愛を養うことができる。思いやりの心、私はわが愛する草木でこれを培い、その栄枯盛衰を観て人生なるものをも解し得た」 「世界に植物すなわち草木がなかったなら我らは決して生きてはいけない。我らの衣食住はその資源を植物に仰いでいるものが多い。植物に取り囲まれている我らはこの上もない幸福である。翠色滴たる草木の葉、紅白紫黄、色とりどりの花が咲き、吾人の眼を楽しませる。誰もその美と爽快とに打たれ、花を愛せぬものはあるまい」
「花は、率直にいえば生殖器である。誠に美麗で、且つ趣味に富み、まったく美点に充ち満ちている。この花は種子を生ずるために存在している器官である。そして、この種子を保護しているものが果実である。草でも木でも自分の子孫を継ぎ、種属を絶やさぬことに全力を注いでいる。これは動物、人間も同じ。子を生まなければ種属は絶える。つまり我らは続かす種属の中継ぎ役をしてこの世に生きている。 暑い夏に鳴きつづけている蝉は雄蝉であって、一生懸命に雌蝉を呼んでいる。うまくランデブーすれば、雄蝉は憐れにも木から落ちて死骸を地に曝し、蟻の餌となる。雌蝉は卵を生むが最後、雄蝉の後を追って死んでゆく。蝉と生まれて地上に出でては、まったく生殖のために全力を打ち込んだわけだ。これは草、木、虫、鳥、獣、人でもその点はなんら変わったことはない、生物はみな同じだ。我らが花を見るのは、この花の真目的を嘆美するのではなくて、ただその表面に現れている美を賞観して楽しんでいるにすぎない。花のために、一掬の涙があってもよいではないか」
「日本は、非常に植物の豊富な国である。北は寒地の植物が繁殖し南は熱地の草木が欝茂し、其中間には暖帯温帯の品種が生じて従って種類の豊富を致した」 「染井吉野は沢山枝に満ちて開き頗る濃艶、都会の花としては実に申分がない」 「支那若しくは朝鮮より渡って我邦のものゝ様になり、其美を世界に誇り居る植物、即ち、梅、牡丹、芍薬、蓮、紫陽花、海棠、朝顔、石竹、白木蓮、菊、公孫樹など」 「藤、山吹、蘇鉄、棕櫚、桂は日本固有の産。枇杷、柿、竹は支那にも産するが西洋にはない。つつじ並に石楠花の類でも外国に誇るに足るものが少なくない。楓属の品種は随分豊富、檜葉は其品類が極めて多く装飾樹として尊重せられ居る」 「本当の林檎は実の直径およそ3cm、ミカンは実の毛の中の汁を味わっている」 「花菖蒲は我邦の名花として外国では大に賞観されて居る。百合は日本産のものが世界で一番名高い。桜草も亦我邦の特産で外国にはない」
「人間は生きている間が花である。わずかな短い浮世である。その間に大いに勉強して身を修め、徳を積み、智を磨き、人のために尽くし、国のために務め、自分のために楽しみ、善人として一生を幸福に送ることは人間として大いに意義がある」 「家守りし妻の恵みや我が学び 世の中のあらん限りやすえこざさ」 「私はまだ学界の為に真剣に研究せねばならぬ植物を山のように持って居るのに歳月は流れわが齢余す所幾何もない。感極って泣かんとすることが度々ある」
色とりどりに咲き誇る美しい花々や蕾に囲まれる、そんな日々がいいですね。
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