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VOL.265 冬至 乃東生 2009.12.23
低炭素社会
「米フロリダ州のエアコン一台が一年間に出す温室効果ガスの量は、
カンボジアの国民一人が一生かかって出す量より多い」 UNDP(国連開発計画)
本日は、「地球温暖化防止の考え方 なぜ2℃以下に抑えなければならないか」(西岡秀三・国立環境研究所特別客員研究員 COP15前 議員会館内勉強会 2009年9月)、「温暖化の観測・予測及び影響評価統合レポート 「日本の気候変動とその影響」」(文部科学省・気象庁・環境省 2009年11月)、「地球の環境
(ジュニア学研の図鑑)」(2009年3月)から
T ロックイン効果
ロックイン効果を考慮すると、長期目標達成は不可能
「京都議定書で削減義務を負っているのは日本やEUなど世界全体排出量の30%、それぞれ20%の排出量を占める米中の参加が不可欠。温暖化ガスの低濃度安定化には、先進国全体で2020年、25〜40%削減が必要。早期に削減対策を行わなければ、ロックイン効果により削減機会を長期間に渡って失い、長期目標達成を不可能にする」
10年削減対策が遅れると、550ppm排出パスにすら積極策が必要
「マッキンゼーの調査では、10年(2010年→2020年)削減対策が遅れると、石炭発電所(40-50年)、多くの工場(20-30年)、自動車(10-20年)などの寿命が長いため、ロックイン効果により、2030年までの削減ポテンシャルが40%(38→22GtCO2)下がり、280GtCO2分の削減機会が失われる。10年遅れることにより、大気濃度について450ppmはおろか、550ppmの排出パスに達するためにすら積極策を講じる必要がでてくる」
500ppmで生物多様性が4割損失、地球システム全体に破壊的影響
「産業革命以前の濃度は280ppm、現在は380ppm、年間2ppmずつ増えており、あと10年で危険なレベル400ppmに入る。450ppmでも途上国を中心に食料不足や水資源変化などの増大を免れず、500ppmでは4割の生物多様性が損なわれ、地球システム全体に破壊的影響、気候システム全体がガラッと変わってしまう(tipping
point)可能性がある」
大気中に温室効果ガスが増えつづける限り、気候変動は激しくなる
「気候は生物・人類生存の基礎、世界すべての地域・あらゆる分野への影響が大きく、止めなければ被害は甚大となる。2℃を超えると生態系の大多数は現状維持が不可能、急激に進む温暖化と自然災害などで子供や孫の世代へとりかえしのつかない影響が。数億人が水不足に陥り、安全保障にかかわる」
今の排出を続けると今世紀半ばに2℃、2100年に4℃上昇
「産業革命前から20世紀末頃までに、すでに0.5℃の温度上昇が起きている。産業革命前から2.5度上昇に止め、気候を安定化するには、【排出量<地球の吸収量】にするしかない。現状は、【人為的排出量72>31自然の吸収量】、吸収量の2倍以上を排出。(億トン/年、吸収能力:陸上9、海洋21)」
自然の吸収量は、今後減少する
「人間は年間72億トン(炭素換算)のCO2を大気に放出しているが、自然界の吸収量は31億トン、毎年41億トン確実にたまっていく。温暖化進行で、CO2吸収が減少する「正のフィードバック」が起これば、予測以上の被害が発生するおそれがある。気温が上がると、森林は高温により有機物の分解が始まり、CO2が土から出てゆき、海も2010年をピークに吸収率が下がる」
2050年世界半減、先進国80%削減が必要
「世界で50%削減、究極的(100年〜)には、ほとんどゼロ排出にする必要がある。先進国は一人当たりで世界の3〜6倍排出、アメリカは6、日本は2.5。温暖化をとめるには【排出量=吸収量−FB】にする必要があり、日本は0.5(一人当たり等量=80%削減)にする必要がある。途上国は一人当たりでは少ないが、総量として先進国と同量で、将来3倍に。先進国が率先して削減する必要がある」
濃度安定化後も、数世紀間の気温上昇が続く
「車はすぐに止まれない、地球システムにも慣性がある。今、排出を0にしても、これから20−30年間は、10年あたり0.2℃で気温が上昇する。濃度安定化後も海洋を含めたすべての気候システムが平衡状態となるまで数世紀間の気温上昇が続く。また、温室効果ガスの安定化濃度と予測される気温上昇の科学的な関係には不確実性が残る。CO2が2倍になった場合の平衡時の気温上昇(気候感度)は最良推定値が3℃であり、2〜4.5℃の範囲の値である可能性が高い」
現在の気候変動予測モデルには、不確実性が含まれている
「IPCC AR4
にも指摘されているとおり、現在の気候変動予測モデルには、雲やエアロゾルの効果、炭素循環のフィードバック等に、不確実性が含まれており、予測結果に多大な影響を与えている。これらの課題を解決し、さらに高精度で信頼度の高い予測結果をIPCC
AR5(2013〜2014
年に公表予定)に提供することが求められている」
現在観測されている傾向が将来さらに激化する
「天気予報は、数値予報モデルによる予測に基づいて行われ、ニュートンの力学法則、熱力学法則、大気の流体としての連続の式、水蒸気式などを連立させた方程式系により、数日先の変動を予測する。100
年先の気候変動を予測する気候モデルでは、気候変動を、太陽活動の変動や火山噴火など自然起源の駆動要因と、排出シナリオを前提にした人為起源の温室効果ガスやエアロゾルの変動などの駆動要因に対して、大気、海洋、陸域、生物圏、雪氷圏などからなる気候システムがどう応答するかによって示す。これまで提案された排出シナリオでは、今後30年程度まで温室効果ガスの濃度変化にほとんど差はなく、気温変化予測で差が生じるのはその先である」
温暖化懐疑論はすべてIPCCで討議済み
「気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼさない水準に、温室効果ガス濃度を安定化させる。生態系が気候変動に自然に適応し、食料生産が脅かされず、経済開発が持続可能な態様で進行できる期間内に達成されるべき(UNFCCC 気候変動に関する国際連合枠組条約 1992年採択)」
気温上昇を2℃に抑えた場合でも一定の被害が生じる
「日本は、科学技術や社会基盤が発達し、比較的高い適応力があるといえるが、台風等による水害、土砂災害、高潮災害の増大、地震の頻発、食料や資源の海外への依存、高齢化等、日本の自然や社会の特性に起因する固有の脆弱性を有している。このような脆弱性に気候変動の影響が重なると、社会の安定と安全を脅かす甚大な影響が生じる恐れがある」
温室効果ガス排出削減を直ちに強化、大幅削減の持続的実施が必要
「世界レベルでの温室効果ガス削減が実現しない場合、21世紀末までに日本の平均気温は約2〜4℃上昇、熱帯夜や真夏日が増加。洪水、土砂災害、ブナ林の適域喪失、砂浜の喪失、西日本の高潮被害、熱ストレスによる死亡リスクの被害合計額は、21世紀末には毎年約17兆円に及ぶ可能性がある。温室効果ガスの排出削減対策を直ちに強化するとともに、50年、100年単位の長期的なタイムフレームで大幅な排出削減を持続的に実施、政策決定を支援する豊富な科学的知見が必要である」
U 東京3℃上昇
現在は間氷期であり、やがて次の氷期が出現する
「過去数十万年間では、10万年程度の氷期と間氷期(1〜3万年前後継続)が繰り返されている。この氷期と間氷期のサイクルは、地球の公転軌道や自転軸の傾きの周期的な変動によってもたらされ、次の氷期が出現するのは3万年以上先である」
人類文明始まって以来の、極めて特殊で急激な濃度増加
「過去100年間で世界平均気温が0.74℃上昇。最近50年間の気温上昇傾向は、過去100年間のほぼ2倍。現在の温室効果ガス濃度は、過去65万年のいずれの間氷期における濃度よりもはるかに高く、近年の濃度増加が地球大気の歴史の中でも極めて特殊で急激であり、これまで経験したことのない速さで気候システムに対する強制力が増大している」
日本の平均気温は100年あたり1.1℃上昇 (1898〜2008年)
「1940年代まで比較的低温期間が続いたが、1980年代後半から急速に気温上昇、特に1990年代以降、高温となる年が頻繁にあらわれ、熱帯夜や猛暑日は増え、冬日は10年あたり2.3日の割合で減っている。温室効果ガス増加に伴う地球温暖化に、数年〜数十年程度の時間規模の自然変動が重なっている。世界平均気温は、100年あたり0.7℃上昇、過去1300年間には見られない急激なものである」
東京の年平均気温は100年あたり3℃上昇
「札幌、仙台、名古屋、京都、大阪、福岡でも100年あたり2℃以上上昇、地球温暖化を上回る気温上昇が、ヒートアイランド現象によりもたらされている。世界平均気温の算出における都市のヒートアイランドの影響については、IPCC
AR4
は、その効果は局地的であり、世界平均への影響は無視できる(陸上で10年当たり0.006℃未満の上昇、海上でゼロ)としている」
世界平均を上回る日本の気温上昇
「20世紀末から21世紀末までで1.1〜6.4℃の上昇、日本の気温上昇幅は世界平均を上回り、高緯度地域、冬季の昇温が大きいと予測される。2001年以降の世界年平均気温は、すべて1891年以降の高いほうから上位10位以内。日本の100年後の冬日(日最低気温0℃未満)は25〜38日減少、特に本州山間部や東北地方、北海道で減少が大きく、北海道の太平洋側やオホーツク海側で50日以上の減少が予測される。真夏日、猛暑日、熱帯夜といった“暑い日”は、特に関東と近畿地方以南での増加が大きい」
熱ストレスによる死亡リスクや熱中症患者が急増
「将来、日最高気温が上昇するのに伴い、熱ストレスによる死亡リスクや猛暑による熱中症患者数が急激に増加、とりわけ高齢者へのリスクが大きくなる。いくつかのアジア諸国では、2030年までに栄養不良人口が増加」
感染症や大気汚染、大規模自然災害、衛生害虫等が拡大・増大
「デング熱等を媒介するヒトスジシマカは、1950年は栃木県が北限であったが、2000年代には東北北部にまで分布拡大した。感染症媒介生物についても、デング熱等の媒介蚊であるヒトスジシマカの国内での分布域拡大や、ネッタイシマカの新たな侵入が予測されている。カナダではライム病媒介生物(マダニ)が2080年代までに1000km ほど北に広がる」
V 水質悪化・海洋酸性化
大雨日数・短時間強雨が増加
「日本の大雨日数は増える傾向にあり、20世紀初頭と比べ100mm以上の日数は1.2倍に、200mm以上の日数は1.4倍に増加。2008年夏、日本各地で局地的大雨や集中豪雨が発生、愛知県岡崎市で1時間雨量146.5mm、記録更新地点が20か所を超えた。1時間降水量50mm及び80mm以上の短時間強雨の年ごとの発生回数は増加傾向にある」
日本の年降水量は5%増加、夏季に降水量・大雨日数が増加
「日本の年降水量は、21世紀末には20世紀末に比べ5%程度増加、夏季に降水量と大雨日数が増加、日降水量が100mm以上に達する大雨日数も大きく増加、梅雨明けが遅れる傾向があると予測されている。降雪量は北海道を除く地域で減少、北海道では温暖化しても雪が降るには十分に寒冷なため、温暖化による大気中水蒸気量の増加により、降雪量が増加する」
降水量、水温変化により、水供給や生態系に影響
「降水量や河川・湖沼・地下水温変化により、河川流量変化、蒸発量増大、積雪量減少、降雪時期、湖水水位、水質変化等が生じ、水供給や生態系に影響が波及、海面上昇による地下水塩水化や、塩水の河川遡上に伴う取水障害などの影響が考えられる」
大雨や渇水による河川・湖沼・貯水池の水質悪化
「日本でも降水量の年ごとの変動が大きく、将来、渇水と洪水リスク増大が予測される。3〜6月に多くの地域で地表到達水量減少、稲作における移植活着期などの農業用水需要期に河川流量減少、春先以降の水利用に大きな影響が生じる。大雨や渇水による河川水質の悪化、大雨等による濁質流入、水温上昇による蒸発量増大、湖沼・貯水池の全循環停止等により、湖沼・貯水池の水質が悪化し、生態系や水道原水等に影響を及ぼす」
非常に強い台風が増え、100年に1度の洪水が30年に1度発生する
「発生数は減るものの、全球的に非常に強い(最大風速44m/s以上)熱帯低気圧数が増え、雨が強くなる。気候変動がもたらす水災害の変化は、大雨頻度増大による河川洪水や土砂災害等と、海面水位上昇や台風強度の増大による高潮被害等の浸水害の増大に大別される。高潮に脆弱な地域は、東京南部沿岸、名古屋港内、大阪中南部沿岸に多い」
日本南方海域で海洋酸性化が顕著に進行している
「海水は弱アルカリ性で、水素イオン濃度指数(pH)はおよそ8を示すが、産業革命以後、大気に放出されたCO2の30%は海洋に吸収され、海洋表層のpH
は0.1ほど低下している。日本南方海域では海洋表面から中層にかけCO2濃度が増加、海洋酸性化は顕著に進行している。海洋酸性化は、炭酸カルシウム(特にアラレ石=アラゴナイト)の殻や骨格を作る貝やサンゴなどの生物群の生存に影響、沿岸・外洋域問わず、海洋生態系に深刻な影響を及ぼす」
世界平均海面水位上昇は18〜59cm
「20世紀を通じた世界平均海面水位上昇は17±5cm、20
世紀末と比べた21世紀末の上昇は18〜59cmと予測、海水の熱膨張(70〜75%)と陸氷の融解が寄与している。海水密度や海洋循環の違いのため、日本周辺海域では世界平均に比べ+5〜+10cm大きくなると予測されている。日本沿岸海面水位は、主に北太平洋偏西風の強弱や南北移動を原因とする約20年周期の変動が顕著である。1906〜2008年の日本の平均的水位変動の振幅は約12cm、世界の約2/3
に相当する」
晩夏の北極海氷は21世紀後半までにほぼ完全に消滅
「世界平均気温が1990〜2000年に比べて1〜4℃上昇した状態が継続されれば、グリーンランドや西南極の氷床融解が数百年から数千年かけて進み、4〜6m
もしくはそれ以上の海面上昇をもたらす。完全に融解すれば、それぞれ、最大7m
及び5mの海面上昇が起こる」
W 農水産物減少・品質低下
世界の水資源への影響が日本に及ぶ
「南北アメリカ東部、ヨーロッパ北部、アジア北中部で降水量はかなり増加、サヘル、地中海、アフリカ南部、南アジアの一部で乾燥化が観測されている。日本に投入されるバーチャルウォーターの大部分は、アメリカ、オーストラリアからのトウモロコシや牛肉、小麦、大豆として輸入されている。オーストラリアで2006年に発生した干ばつで、小麦生産量が前年比60%減少、輸出量も3分の2に減少、輸入小麦の2割をオーストラリアに頼っている日本は、小麦粉を原料とした食品小売価格の値上げ等、大きな影響を受けた」
コメ、果樹の品質低下等の影響が既に発生している
「将来のコメ収量、果樹の栽培適地、回遊魚の生息域の変化などが予測されている。気温上昇や大雨や干ばつの増加は、農産物収量減少や品質低下を、海水温度上昇は、生息する魚種の変化をもたらす。家畜では乳量や乳成分、肉質、繁殖成績の低下等の発生、水産業では、九州周辺海域における南方系海草類の増加や、秋季水温低下の遅れに伴うノリ養殖の遅れ等が報告されている」
2081〜2100年、コメ収量減少地域が中国・九州に拡大
「高温によるコメの白未熟粒や胴割れ、食味の低下が既に東北以南の広い地域で発生している。北海道、東北では気温上昇とともに増収する傾向は続くが、西日本では3℃を超えると減収に転じる。雪どけ時期の水量変化や病害虫影響等の要因を考慮すると、収量増加と予測された地域においても収量減少となる可能性が示唆されている」
果樹は気温3℃上昇で、現在の主要産地の多くが栽培不適地となる
「高温によって、ミカンの浮皮症や日焼け果、ブドウの着色不良などが生じている。高温、水不足で日焼けが起き、品質が低下。気温上昇が3℃を超えると、リンゴは北海道ほぼ全域が栽培適地、東北地方中部の平野や関東地方以南では栽培不適となり、ウンシュウミカンは栽培適地は東北地方南部沿岸域まで広がる一方、現在の主要産地の多くが栽培不適地域となる」
淡水域における冷水魚の分布域縮小
「湖の鉛直循環停滞による生態系の変化。サケ類は日本周辺での生息域減少、オホーツク海でも2050年頃には適水温海域が無くなる。トラフグ養殖適地が北上し、北陸、東北地方でも養殖可能となる」
X 生物移動
生物は温度変化に敏感に反応して移動をはじめている
「気候変動の好影響の例として、大気中の二酸化炭素濃度上昇によって光合成が活発化し、穀物収量が増加すること(施肥効果)があげられているが、好影響より悪影響が卓越する。最も気温上昇の大きい北極圏では海氷縮小や永久凍土融解が進み、生物は温度変化に敏感に反応して北極の方向へ(北半球)、また山地では標高の高い方へと移動をはじめている」
1℃の気温上昇でサンゴ白化が広がり、生物生息域が変化
「1〜2℃の気温上昇では、高緯度では農作物生産性が増加するものの、低緯度、特に乾燥熱帯地域では生産性が減少し飢餓リスク、熱波による死亡率が増加する。日本でも1981〜2000年比1.7℃の気温上昇で、熱ストレスによる死亡リスクが2.2倍に増加」
生物や生態系分布が北上、生物の活動変化が最近顕著に
「高山植物減少、サンゴ白化、開花の早まりや紅葉、落葉の遅れといった生物の季節活動への影響等がすでに起こっている。将来、影響がさらに進行、生態系は、気候変動が生物分散スピードを上回ると生息適地の変化に追いつけなくなり、絶滅リスクが高まる。海洋酸性化や海水温上昇等の変化により、海洋生態系も同様。生物や生態系分布が北方・高標高域に変化(高山植物群落衰退、積雪量変化による湿原乾燥化、冷水魚分布縮小、チョウ分布北上など)、生物の活動変化(サクラ開花、紅葉、鳥の産卵時期)、サンゴ白化などが、最近数十年間で顕著になっている」
ブナ林消滅の危険性が高く、樹種交替が進む
「1981〜2000年からの気温上昇が1.0℃でブナ林適域が23%減少、1.7℃で39%減少、3.2℃で68%減少。マツ枯れ危険域となる割合は、1.0℃で16%、1.7℃で28%、3.2℃で51%に増加。20世紀末(1981〜2000年)と比較した21世紀末(2082〜2100年)におけるサクラ開花日について、東・北日本では早くなる地域が多く、開花時期の変動が大きくなり、平均すると約2週間(14.5日)早まる」
生物や生態系には不可逆な変化が多く、適応能力に限界がある
「生物現象には、生物間の相互作用が絡んでいるため、気候変動によってある動物が減少すると、その動物が餌としている生物は増加、逆にその動物を餌としている他の動物は減少する。生物種のいくつかが絶滅することで、不可逆的に失われてしまう生態系機能もある。生物が本来持っている分散可能なスピードは、鳥や昆虫のように移動性の高い生物では速く、樹木のように自分では動かず寿命の長い生物では遅い」
樹木は花粉や種子を運んでくれる共生パートナーを失う可能性がある
「こうした現象が進むと、全く新しい種の組み合わせによる生態系ができあがることも考えられる。地球上の生物は、約6000年前には現在より約2℃平均気温の高い状態を経験しているため、その範囲なら絶滅を免れる可能性もある。人工林や農業生態系では、樹種や作物種の転換といった適応が可能であるが、自然生態系においては、適応策は限定的なものにならざるをえない。種の絶滅が予測された場合に、生息域外保全などの対策をとるのかどうかについてのコンセンサスを得ておく必要がある」
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